餅勧進 - 小正月の訪問者

今年の小正月は、湧水町吉松地区の餅勧進を調査しました。
「餅勧進」は、餅をもらう勧進聖から来た名称で、えびの市など宮崎県南西部を中心に伝承している「小正月の訪問者」行事の一つです。
現在の吉松の餅勧進は、還暦を迎えた人びとが、仮装して新築の家などを回り、ニワカ神主役の人がお祓いをして、ハンヤ節を踊って祝福。お礼に焼酎をもらう――という習俗になっています。
吉松の餅勧進
名称は「餅勧進(もっかんじん)」ですが、最近は、餅は貰わず、焼酎などをもらうようです。
もともと吉松にもあったものが一時中断して復活したとも、えびの市京町から20年前に伝わったともいわれます。北薩には他地区でも餅勧進習俗があるようで、もともとあった可能性も高いのですが、今回は確認できませんでした。
また、この餅勧進の特色として、還暦を迎えた人びとが、毎年同窓会を中心に「餅勧進の神」に扮するということがあげられます。他町出身の伝承者によれば、昔は新築祝い、出産祝い、還暦祝いなどのある家に餅勧進が来て、お祓い・お祝いをし、餅をもらって帰るものだったとのことです。そうすれば、祝う側(餅勧進之神)と迎える側(還暦の人びと)とが転換しているユニークな習俗とも言えます。
今年は知覧ではカセダウチも行われたようです。こちらは、毎年あるように思っていても、なかなか見られません。新聞によれば3年ぶりとのこと。鹿児島の小正月行事も多彩ですね。
→写真帳「吉松餅勧進
→動画「吉松の餅勧進
→解説:カセダウチ - 鹿児島祭りの森