薩摩の馬踊りの習俗

鹿児島神宮初午祭を始めて見てきました。国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されています。
下野敏見先生は、足踏耕に由来するとも述べられています〔南九州の民俗芸能151-153頁〕。しかし、現在は馬が主役というよりも、マイクにスピーカーの踊り子の皆さんの元気のほうが、目に耳に飛び込んできます。
この踊りの雰囲気、どこかで触れたことがあるなあと思っていましたら、文化庁の「国指定文化財等データベース」に載っている詳細解説を読んでわかりました。

元々の目的は、馬の健康祈願や多産を願ったものが、今は厄払い、歳祝い、商売繁盛のほか棟上げ、婚礼など馬なしでも行うようになったとのことです。

これは、南さつま市で見られる御伊勢講や湧水町の餅勧進と同じような、変容を遂げてはいないでしょうか。いずれも仮面を被り仮装して人びとを祝福して回るものです。

現在の「鈴掛け馬踊り」の模様を記録しておかないと、時代とともにさらに変容をきたすものと思えます。確かに「国選択」に値する習俗と言えそうです。

保食神社前でお祓いを受ける神馬
鈴掛け馬踊り
大鳥居をくぐる鈴掛け馬
本殿前での奉納
●調査日:2014年2月23日(本来は旧暦1月18日。今はそれに近い日曜日)
●調査地:鹿児島県霧島市隼人町 鹿児島神宮 辻の角保食神社~参道~拝殿前
→動画:薩摩の馬踊りの習俗
→写真:鹿児島神宮初午祭

〔参考〕
→動画:伊勢講オンケ
→動画:吉松の餅勧進
→解説:大浦町の疱瘡踊り
→解説:餅勧進 - 小正月の訪問者