中川ごちょう踊り

今年のお正月は、指宿市の中川へ「ごちょう踊り」を見に行きました。鬼神面も登場し、大変賑やかな踊りです。
まず、コソロン又はコソドン(高祖殿・こうそどの)と呼ばれる高祖神社へ奉納。道行きが晴れやかです。その後、公民館の庭で披露されます。
神社への道行き
高祖神社での奉納
中川ごちょう踊りの鬼神
太鼓5人、鉦7人、入れ鼓1人、鬼神面4人、鬼神の子(?)2人(鬼神と同じ棒と扇を持つ)。保存会の方によれば、「奇人か鬼神か、よく分からないが、キジンはドウケル(道化る)のが役目」とおっしゃいます。
この踊りには歌はありませんが、公民館に大きな楽譜が掲げてありました。楽の曲名は、ミチユキ(道行き)、ニワイ(庭入り)から、ズーズ、小牧ベ(「ベ」は桴のこと)、オドイベ(踊り桴)、マクイ(巻く)などと続き、引ベ(引き桴)まで14曲。○印がカネで「キャン」と読む、―印が太鼓で「ズシ」と読む。○○○―だと「キャンキャンキャンズシ」です。
ごちょう踊りの楽譜
太鼓のバチ(ブチと呼ぶ)は、桐製で、昔は付近にもたくさんあったが、最近は見つけるのが大変だといいます。痛んだら作り直すそうです。長さは31センチ。背中には「ヤマ」と呼ばれる矢旗を背負います。タラの木の皮をジベ状に垂らし、その中に大きな金色の目玉飾りが入っています。高さ171センチ。これを前後に振る姿は、伊作太鼓踊りの唐団扇の動きにも似ており、大変ダイナミック。一方、桴が桐である点(柔らかい響き)、目玉型の矢旗など、枕崎市の鹿篭太鼓踊りとの共通項も見られます。
中川ごちょう踊りの大太鼓
大太鼓のバチ
鬼神とともに鉦役の姿も、武者なのか山伏なのか、恐ろしい形相です。この踊り全体がさまざまな要素を取り入れた、ユニークな踊りになっていると感じました。
公民館は懐かしーい趣があり、庭には見物客のために木製の長椅子が並べられます。保存会の方々は皆さん優しく対応してくださり、「呼ばれればどこへでも踊りに行きます」とのこと。あったかいお正月になりました。

●調査地:鹿児島県指宿市西方 中川集落 高祖神社・中川自治公民館前庭
●調査日:2014年1月1日 午前11時から
→写真帳:中川ごちょう踊り