四部落太鼓踊り

四部落太鼓踊り
湧水町の下川西地区「四部落太鼓踊り(しぶらく たいこおどり)」を見てきました。ギュッと引きしまるビナマキの場面が印象的です。

踊りの名称にもなっている4集落は、湧水町大字川西の陣前(じんぜん)・松山・堀ノ原・市原で、南方神社の氏子です。「四部落太鼓踊り」は、この4集落の氏子が一緒になって、一つの太鼓踊りを奉納する郷土芸能です。毎年月遅れの7月27日(南方神社の正祭)に近い日曜日に奉納。湧水町指定無形民俗文化財。

今年は、大太鼓10人、鉦4人(入れ鉦1人・親鉦3人)・入れ太鼓2人、合計16人で構成されていました。
大太鼓の矢旗は、背中のジョイント部分からの高さが2.5メートルと巨大です。腰までの高さと合わせると4メートル近くになります。鉦・入れ太鼓は、シベ(幣)の付いた手作りの花笠を被ります。
注目されたのは大太鼓の桴「ベ」。長さ40センチほどで、芯に竹を入れ、その周りを藺草で覆っています。保存会の方によれば、「以前はアケビや梅の木のバチだったのを、郷土出身者で福岡在住の方からの寄贈により、今のように藺草製のものを使用するようになった」とのこと。
踊りは勇壮で、歌は川内川流域に分布するアケスメロ系のものです。歌い出しは「雲の合間」「七里ケ浜」「スミヨセ(住吉?)」の三つです。

保存会の方によれば、踊り子不足に悩まされるが、県指定文化財も目指しているとのこと。伝承者は少なくなったものの、踊り自体はしっかり伝承されています。採り物や衣装の変容をきちんと整理すれば、より評価がある郷土芸能として、位置づけられることでしょう。



●調査地:鹿児島県湧水町吉松地区 大字川西 南方神社境内
●調査日:2012年8月26日 午前11時から(踊り45分間)
→写真帳:下川西四部落太鼓踊り